編集作業における芸術性と技術性が最も顕著となるのはラフカット作成後の工程ですが、高度な編集に取り掛かる前に、正しい順番で並んでいるショットのタイミングを調整する作業は欠かせません。
この工程では「マーカー」が重宝します。時間ベースでショットの使用したい場所にマークを付けたり、以降予定している編集内容をメモしておけるなど、とても便利な機能です。マーカーを追加する方法はいくつかありますが、音楽のビートに合わせてマーカーを追加するような場合には特に、「M」キーが有効です。この方法でマーカーを追加した後にオート編集機能でビデオクリップを配置すると、映像と音楽が同期したモンタージュを最速で作成することができます。このときオート編集機能の設定は、配置項目を「番号なしマーカー」にする必要があります。
マーカーパネルのサムネイルまたはタイムラインルーラー上のマーカーをダブルクリックしてダイヤログを表示し、メモなどコメントもここに入力します。「デュレーション」フィールドには数字を直接入力することもでき、「500」と入力した場合のデュレーションは「5秒間」です。
では、クリップを追加・削除・移動させながらタイミングを調整します。
ソースモニターには、クリップを追加する「インサート」ボタンと「上書き」ボタンがありますが、プログラムモニターには、クリップを削除する「リフト」ボタンと「抽出」ボタンがあります。これらは削除したいクリップの上に再生ヘッドを置き、「X」キーでクリップをハイライトした状態で使用します。
リフト編集は通常の「Delete」キーを使った削除と同じで、削除したクリップの場所にはギャップが残ります。対して抽出編集は、「Shift」キーと「Delete」キーで行う「リップル削除」と同じく、後ろのクリップが左に詰められギャップは残りません。「Ctrl / Cmd + K」による編集点の追加、または「レーザー」ツールを使ってクリップを分割しながら、以上のいずれかの方法で不要なクリップセグメントを削除します。また「シーケンス」メニューから「ギャップを詰める」を選択すると、シーケンス内のギャップを一括削除できます。
クリップの追加また移動時は、「Ctrl / Cmd」キーを押しながらドラッグすると、インサート編集モードになります。また「スナップ」ボタンはオンにしておくと、ドラッグするクリップが他のクリップや再生ヘッドに自動的にスナップするので、正確な配置が可能になります。
繊細な調整が必要となる場合には、「Alt / Option」キーを押しながら「左右矢印」キーで、選択したクリップが1フレームずつ移動し、「Shift」キーを加えて押すと5フレーム移動します。