トランジションは動画編集の標準的な表現手法の一つで、視聴者の注意をそらすまたは引きつける目的で使用します。一般的には「ジャンプカット」と言われる急な場面転換など目障りな編集ポイントを取り除きたい場合によく使われますが、多用すべき編集テクニックではありません。プロがつくる映画はほとんどがカットのみの編集であるように、トランジションを必要以上に使用することでアマチュアチックになってしまい注意が必要です。
トランジションを会得する上では、まずは「編集点」と「ハンドル」という概念の理解が不可欠です。
編集点とは、1つのクリップが終了して次のクリップが開始する位置にあるポイントのことをいい、タイムライン上に複数のクリップが配置されているときに表示されるクリップ間の縦線です。またクリップの中間あたりでイン/アウトボタンを設定すると、両端には通常表示されない予備フレームができます。
ハンドルとはこの予備フレームのことをいい、クリップのメディア開始時間とインポイントの間のハンドルを「ヘッドマテリアル」、アウトポイントとメディア終了時間の間のハンドルを「テイルマテリアル」と呼びます。
トランジションは基本的に後ろのクリップが前のクリップにオーバーラップするので、スムーズに機能させるにはハンドルが必要です。ハンドルが十分にないクリップにトランジションを使用すると、不足部分には斜線が表示されフリーズフレームでデュレーションが延ばされます。
PremiereProに備わっているすべてのトランジションは「エフェクト」パネルに整理されており、編集点にドラッグして使用します。トランジションのデュレーションや配置の調整はタイムライン上でもできますが、オプション設定などのカスタマイズは「エフェクトコントロール」パネルで行います。
既存トランジションに別のトランジションをドラッグすると、調整したデュレーションや配置は引き継がれながら置き換えられるので、様々なトランジションを簡単に試すことができます。
またトランジションはデフォルト設定されているので、編集点を右クリックして「デフォルトのトランジションを適用」で素早く使用でき、複数のクリップにまとめて使用したい場合は「シーケンス」メニューから「選択項目にデフォルトのトランジションを適用」を選択するか、「Shift + D」を使います。このときビデオとオーディオがリンクしているクリップのどちらかだけを選択したい場合は、「Alt / Option」キーを押しながらドラッグしましょう。
デフォルト設定されているトランジションはエフェクトパネル内で青色の枠で囲われているので、他のトランジションを右クリックして変更でき、デュレーションは「環境設定」の「タイムライン」項目内で変更できます。